ファームウェアの動作要件

ファームウェアの動作要件 #

Actcast でデバイスを管理、運用する際には実際に設置する環境に必要となる条件があります。

ここでは デバイスファームウェア の要求する動作環境について説明します。 デバイスが期待通りに動作しない場合は、以下に挙げる条件を満たしているかを確認してください。

ネットワーク #

デバイスファームウェアは Actcast でデバイスを管理、運用するために様々なデータをネットワーク経由で送受信しています。 このセクションでは Actcast を快適に利用するためのネットワーク推奨環境と、 Actcast を利用するための要件について説明します。 デバイスを設置する環境では、以下で説明するプロトコルによる通信と、通信ホストとのネットワーク接続が可能でなければなりません。

また、有線接続と Wi-Fi 接続の設定について説明します。

推奨環境 #

デバイスを設置するネットワークは下記の性能を満たしていることを推奨します。

  • インターネット回線速度

    実測値で下り 50 Mbps 以上、上り 10 Mbps 以上を推奨します。

  • インターネット接続

    常時安定した接続ができることを推奨します。

  • Wi-Fi 規格

    802.11 g/n/ac を推奨します。

  • ネットワークのレイテンシ

    実測値で RTT (往復時間) が 50 ミリ秒以下の環境を推奨します。

プロトコル #

ファームウェアの動作に必要なプロトコルとその Actcast 上での役割について説明します。 これらのプロトコルやポートを介した通信が遮断されている環境では Actcast の機能が正常に利用できません。

  • DHCP (UDP/68, 67)

    ActcastWriter で特に設定した場合を除き、デバイスへの IP アドレスの割り当てに使用されます。 また NTP サーバのアドレスの取得にも使用されます。

  • DNS (UDP/53)

    actcast.io など通信の必要なホスト名の解決に使用されます。

  • NTP (UDP/123)

    デバイス時刻の調整に使用されます。 Raspberry Pi はボード上に RTC (リアルタイムクロック) を持っていないため、NTP を利用しなければ時刻を調整できません。 時刻がずれている場合 TLS 接続を確立できないため、サーバーと通信できなくなりデバイスの動作や管理が正常に実行できなくなります。

  • HTTP (TCP/80)

    時刻同期および firmware のダウンロードに使用されます。

  • HTTPS (TCP/443)

    actcast.io によるデバイスの制御、ステータスのアップロード、アプリのダウンロードなどに使用されます。

  • MQTT (TCP/443)

    デバイスステータスの送信、コマンドの受信などに使用されます。

通信ホスト #

ファームウェアが通信する通信先ホストを挙げます。 これらのホストとの通信が遮断されている環境や、接続にプロキシへの接続を要求する環境ではデバイスが必要な通信を行えないため、Actcast の機能が正常に利用できません。

  • DHCP サーバ

    デバイスを設定したネットワーク上で提供される DHCP サーバが利用されます。

  • DNS サーバ

    DHCP サーバが配布した DNS サーバが利用されます。 後で説明する有線 LAN 接続を利用する際に DNS サーバアドレスを指定した場合は、その DNS サーバが利用されます。 もしこれらの DNS サーバの不調を検出した場合、以下の Public DNS サーバが利用されます。

    • 8.8.8.8
    • 8.8.4.4
  • NTP サーバ

    DHCP サーバが配布する NTP サーバを利用します。DHCP サーバにより NTP サーバのアドレスが配布されない場合、以下の NTP サーバがデフォルト設定として利用されます。

    • 0.debian.pool.ntp.org
    • 1.debian.pool.ntp.org
    • 2.debian.pool.ntp.org
    • 3.debian.pool.ntp.org
  • https://iot.actcast.io/

    デバイスの登録、種々のコマンドの実行結果の送信などに使用されます。

  • https://pkg.actcast.io

    ファームウェアアップデートを行う際にアップデート内容のダウンロードに使用されます。

  • mqtt://a1sgglpp228nnc-ats.iot.ap-northeast-1.amazonaws.com

    Event Log、Device Log、Act Log の送信、設定変更通知の受信などに使用されます。

  • https://746316586548.dkr.ecr.ap-northeast-1.amazonaws.com

    アプリのダウンロードに使用されます。

  • https://actcast-prd-thing-storage.s3.amazonaws.com/

    Act の TakePhoto 機能を使ったときの画像のアップロード先として利用されます

有線 LAN 接続 #

通常、有線 LAN 接続を使用するにはデバイスに LAN ケーブルを挿した状態で起動するだけで完了です。 ただし Actcast Writer で Wired にチェックを入れた場合、以下の項目が正しく設定されている必要があります。

  • 静的 IPv4 アドレスとサブネット (CIDR 形式)
  • ルータアドレス (オプション)
  • DNS サーバアドレス (オプション)

無線 LAN 接続 #

無線 LAN を使用する場合に必要となる項目、あるいは確認するべき事項を挙げます。

  • デバイスでサポートされているアクセスポイントが提供されている

    Raspberry Pi シリーズでは、ボードの種類毎に使用可能な通信規格が異なります。 ご利用のデバイスで利用可能な通信規格のアクセスポイントがあるかどうかご確認ください。 各デバイスの対応帯域は利用可能な Wi-Fiをご確認ください。

  • 有効なアクセスポイントが設定されている

    Writer または actcast.io のダッシュボード上で設定されたアクセスポイントの内、少なくとも一つでインターネット通信が有効になっている必要があります。 複数のアクセスポイントを登録した際の動作についてはWi-Fi の優先順位をご確認ください。

  • デバイスが必要な通信を行うために十分な電波強度がある

    利用しようとしているアクセスポイントの電波強度が充分でない場合、安定した通信が行えず、NotFound 状態(Device の状態参照)になったり、ファームウェアアップデートに失敗したりします。

    目安としておよそ -70dB 以上の電波強度が無い場合、デバイスやアクセスポイントの設置場所について見直してください。

  • 安定した接続であること

    デバイスの動作にはまとまったサイズのデータを連続してダウンロードする必要がある場合があります。 特にファームウェアアップデートや Act のインストールの際に発生しますが、動作中のアプリの種類に依っては大量の通信が発生します。 この際ネットワーク接続が不安定だと操作に失敗しやすくなります。以下に目安となる通信量を示します。

    • ファームウェアアップデート

      数~数十 MB

    • Act のダウンロード

      数十~数百 MB

カメラ #

Actcast では CSI 接続の公式カメラ(Raspberry Pi Camera Module 2)もしくは USB 接続のカメラで動作を確認しています。 カメラを必須とする Act をデバイスにインストールする際には、インストールを指定した時点でいずれかのカメラが正しく動作するよう接続されている必要があります。


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