デバイスの調達・選定

デバイスの調達 #

ポイント

  • Raspberry Pi は供給の保証日時が明言されている
  • Raspberry Pi 財団の周辺デバイス・ケースは供給保証があるものもあり
    • サードパーティ製品の供給は不透明な場合が多い

ハードウェアが必要なシステムは、システム構築の時点から故障に備えて調達に気をつけるべきです。

Raspberry Pi は供給保証がなされており、 少なくとも下記までの供給がされることが保証されています。 供給に関する声明は Raspberry Pi 公式ページ の各製品ページで確認できます。

Model供給保証日時
Raspberry Pi 3 Model B+少なくとも 2026 年 1 月 まで
Raspberry Pi 4 Model B少なくとも 2026 年 1 月 まで
Raspberry Pi Compute Module 3少なくとも 2026 年 1 月 まで
Raspberry Pi Compute Module 4少なくとも 2028 年 1 月 まで

IoT システムを実現するためのデバイスはコンピュータ本体だけではなく、 カメラ・ケース・電源ケーブル・電源アダプタ・ケースを固定するためのマウンタ・カメラ角度を調整するためのマウンタなど多岐に渡ります。

代表的な Raspberry Pi 財団の周辺デバイスで供給保証があるものは以下のとおりです。

製品名供給保証日時
Raspberry Pi 4 Case Fan少なくとも 2026 年 1 月 まで
Camera Module V2少なくとも 2024 年 1 月 まで
Pi NoIR Camera V2少なくとも 2024 年 1 月 まで

サードパーティ製の製品は急な供給の増減に対応できないものもあり、多くは供給保証がありません。 選定に際しては十分に信頼できるサプライチェーンを構築しておくことが望ましいです。

デバイスの選定 #

システム設計を行う際に設置環境に合わせてデバイスを選定する必要があります。

デバイス #

新規に購入する場合は今後の入手性を考えて Raspberry Pi 4 Mode B を推奨します。

Actcast では簡単なタスクから初め、データを集めながらより複雑なタスクを行うことを推奨しています。 例えば小売店舗に動画再生のみを行うアプリから導入し あとで機械学習タスクも行うアプリを導入する、といった拡張性を想定するならば、最初からその拡張に耐え得る(メモリサイズの大きい)デバイスを導入するべきでしょう。

micro SD カード #

micro SD カードは Raspberry Pi で最も故障し易い部分です。 予期せぬ電源断やデータの読み書きに対し、高信頼な micro SD カードはシステムの寿命に貢献します。 プロジェクトの予算が許せば、業務用グレードの micro SD カードを導入するべきでしょう。

電源ケーブル・アダプタ #

Raspberry Pi 3 Model B+ までのモデルを用いる場合 #

Raspberry Pi 3 Model B+ までのモデルは Micro USB 端子を用いて給電します。 深層学習モデルを高速化して実行するとケーブル・アダプタの品質によっては電源容量の不足が発生します。

5.1 V, 3A のケーブル・アダプタを推奨します。 大量に購入する前に相応の負荷状態にて電圧が 5V を下回ることが無く安定していることを確認すると良いでしょう。

Raspberry Pi 4 の場合 #

Raspberry Pi 4 は 5V/3A 以上の USB Type-C ケーブルを用いて給電します。 各サプライヤから Raspberry Pi 4 用の電源アダプターが販売されています。

ケース #

安定稼働のためにはケースは重要です。 Raspberry Pi は基板がむき出しなため、ケースなしで運用していると導電性のものに触れてショートする可能性もあります。 近くにそれらしいものが無いように設置していても粉塵が積もって起こることもあるでしょう。

その一方、ケースにより熱が籠もる場合があります。 Raspberry Pi は一定温度を超えるとプロセッサの動作クロックを低く抑えて温度上昇を停止させようとするため性能が低下します。 そのまま温度上昇が続くと予測できない誤動作を引き起こすこともありますし寿命も短くなります。 樹脂ケースは熱が籠もりやすいですが値段が安いことが多いようです。 金属ケースは熱伝導性が良いです。 ファンがあるケースは熱対策に有効ですが、ファン自体は駆動部品なので粉塵等での故障要因にもなりえます。

ケースはデバイスの設置・固定にも関わります。ネジ穴など固定のための機能があるかどうか確認ください。

Camera Module を用いる場合、カメラを内蔵する構造のあるケースを用いると便利なことがあります。 あるいは、カメラ単体でのケースも存在しますので選択肢となるでしょう。

野外対応ケース #

デバイスを野外に設置する場合、屋内と比較して多くのことに気を使う必要があります。基本的には防水性・防塵性・耐熱性・耐寒性が求められます。

入射光が強すぎて性能に影響がある場合、対策としてレンズフードが有用です。 ケースに限らず、たとえば動物によるケーブルの咬害など予想外の事態も屋内よりは起こり易いため、アクシデントに対応できる体制を構築しながら運用と改善を行う必要となるでしょう。

カメラ #

カメラは 2 種類に分けられます。

  • CSI カメラ
    • Raspberry Pi 財団の Camera Module など
  • USB カメラ

Raspberry Pi 財団の公式 Camera Module には供給保証があります。 現在 Raspberry Pi 向けに流通している CSI カメラの多くはピント調整を手動で行う必要があります。 調製工程を可能な限り省きたい場合、オートフォーカス機能を持つ USB カメラを利用する手段もあります。プロジェクトの要請と照らして選定して下さい。

POC 目的などで本格的な施工を行わない場合には、予め固定用の器具が付いているような USB カメラが便利でしょう。 三脚用マウンタなどを用いると簡便に固定できます。

その他周辺機器 #

USB・CSI に加え GPIO ピンを用いて接続するデバイスが利用できます。

また Actcast で用いることが出来るデバイスには以下のような制約があります。

  • OS イメージを書き換える必要があるようなデバイスは使えない
    • 特別なドライバを入れる必要がある等
      • Linux の dtb ファイルが必要な場合など
  • Bluetooth で接続されるデバイスは利用できない

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